歯周病は、細菌(歯周病菌)によって歯茎や歯を支える骨などの歯周組織が破壊される病気のこと。歯周病になると歯茎に腫れや出血などの症状が現れ、放置しておくと最終的には歯が抜け落ちてしまいます。
厄介なのは、初期、中期の歯周病には自覚症状がほとんどないこと。「歯の違和感が気になって歯科医院に行ったら、歯周病が進行していた」というケースが圧倒的に多いのです。
歯周病は放っておいても決して治りません。早い段階で治療すればその分、患者様の身体的・経済的負担も少なく済みます。そのためにも、歯茎が腫れる・血が出るといった症状が出ている方は今すぐ、そうでない方も一度、歯科医院で検査されることをおすすめします。
歯周病は早期治療が大事です。
当院では「歯周病になってから治療をする」のではなく、歯周病になりにくい口腔内環境を作る予防歯科も重視しています。
歯周病を引き起こす・進行させる原因には、さまざまなものがあります。
- 喫煙
喫煙者の歯周病進行率は、非喫煙者の4倍。保有歯周病菌の数は2倍以上というデータがあります。 - 糖尿病
糖尿病患者の歯周病進行率は、そうでない方の2倍以上。血中糖度の上昇にあわせて、唾液中の糖度も上がります。 - 骨粗鬆症
閉経後の女性は骨密度が低下します。それに比例して歯を失う割合も高くなっていくことがわかっています。 - その他の因子
免疫不全、ホルモン異常、アンバランスな食生活、多剤併用、精神的ストレス、運動不足など
上記のなかで歯周病の最大のリスク因子となるのが、喫煙です。タバコの煙に含まれている有害物質は約200種類。毎日タバコを吸う人は、吸わない人に比べて歯周病のリスクが約4倍高まることがわかっています(肺がんは4.4倍)。
患者様の健康のことを考えると、歯科医師として歯周病リスクを高める喫煙を見過ごすわけにはいきません。
禁煙する意志はあるけどやめられない方はご相談下さい。
禁煙指導も行なっております。
「自分は朝晩ちゃんとブラッシングしているから大丈夫」と思っている方はいらっしゃいませんか?厚生労働省のデータによると、日本人成人の約8割が歯周病患者、もしくはその予備軍とされています。「自分は大丈夫」と油断せず、「自分は大丈夫かな?」と疑うことで、早期発見につながることもあります。
歯周病かもしれない方も歯周病かどうかわからない方も、まずは下記のチェックシートであてはまるものがあるかどうか確認してみましょう。
- □朝起きた時などに、口の中がネバネバする。
- □ブラッシング時に出血する。
- □口臭が気になる、もしくは指摘された。
- □歯肉がむずがゆい、もしくは痛い。
- □歯肉が赤く腫れていたり、赤黒くなっている。
- □咬むと痛い、もしくは咬みにくい。
- □歯が浮いたような感覚がある。
- □歯と歯の間に食べ物がはさまりやすい。
- □歯が長くなったような気がする。
- □歯肉が下がったような気がする。
- □歯肉を押すと血や膿が出る。
- □歯が揺れる気がする、もしくは揺れるようになった。
ひとつも該当していない方は、今のところ歯周病の心配はなさそうです。
引き続き、健康な状態を保ってください。ひとつでもあてはまった方は歯周病の可能性があります。
3項目以上の場合は歯周病がすでにある程度進行している恐れがあります。
できるだけ早く歯科医院で検査しましょう。
歯周病は、進行具合によって「歯肉炎」と「歯周炎」に分類できます。
※イラストをクリックすると下の内容が変わります。
当院で行っている歯周病検査は、「歯周ポケット診査」「歯の揺度の検査」「レントゲン検査」「咬み合せ検査」です。
歯周ポケット診査 |
プローブという測定器具を用い、歯周ポケットの深さを調べます |
歯の揺度の検査 |
歯を動かし、歯のぐらつき具合を測定します |
レントゲン検査 |
歯を支えている顎の骨の状態(溶け具合)など、歯周組織の状態を調べます |
咬み合せ検査 |
上・下の模型の型どりを行い、咬合器という機械で咬み合せの状態を調べます |
光線の位相差を明暗の差に変換して観察できる光学顕微鏡のことです。これを使うことで口腔内にいる細菌の種類や数などを把握できるため、正確で効果的な治療計画を立てることが可能になります。
レーザー治療
|
スケーリング
|
レーザーを照射することで歯周ポケットを浅くし、治癒へと導きます。出血も少なく、短期間で治療することができます。 | スケーラーと呼ばれる器具を使って、歯面に沈着したプラークや歯石などを丁寧に取り除きます。 |
ルートプレーニング
|
歯周ポケットそうは術
|
スケーリング後に歯の表面の汚染した部分を除去し、ざらざらした部分を硬く平らに仕上げます。歯肉は切開しません。 | 歯肉に麻酔を打ち、歯周ポケットのなかの歯石・プラーク・炎症組織を除去する歯周外科手術です。歯肉は切開しません。 |
フラップ手術
|
|
歯周ポケットそうは術を行っても症状が改善されない場合の治療法。歯茎を切開して歯周ポケットの奥深くにある歯石を除去します。 | 歯肉を切開し、歯を支えている骨が溶けた部分にメンブレンと呼ばれる膜を挿入することで、その内部の歯周組織を再生させる治療法です。 |
エムドゲイン法(再生療法)
|
再生療法とは・・・ 歯周病の炎症によって、壊されてしまった顎の骨や下がってしまった歯肉。それらを修復するために新しい細胞が生まれるような条件を作る治療が、再生療法です。再生療法を行うことで少しずつ歯周ポケットが浅くなり、歯周病の症状が改善されます。 |
歯肉を切開して内部を清潔にしたのち、歯周組織再生誘導材料(エムドゲイン)を塗布して歯周組織を再生させる方法です。 |
当院では、歯周病治療に以下の機器を使用しています。
マイクロスコープ | ![]() |
---|---|
歯を拡大して見ることができる顕微鏡。肉眼ではわからない歯周ポケット内の治療や、目視しにくい部分の歯石除去などに役立ちます。 | |
歯科用レーザー | ![]() |
レーザーを用いることで、治療時の痛みや出血が少なくて済み、短期間で治療が終わるというメリットがあります。 | |
位相差顕微鏡 | ![]() |
口腔内に潜む歯周病菌の種類や量などを観察する光学顕微鏡。それらを正確に把握することで、効果的な治療法をご提案できます。 |
青木歯科オフィスではフラップ手術をはじめとする歯肉移植などの歯周外科も行っております。歯肉移植とは、歯ブラシなどの刺激に対して、抵抗できるほどの健康な歯肉が不足している場合に、上顎の健康な歯肉を弱い歯肉のところに移植し、歯肉を再生させる手術です。「歯茎が下がってしまってブラッシングすると痛い・・・。」というような方は、ぜひご相談ください。
before
after
before
after
青木歯科オフィスでは、重度の歯周病に対して「フルマウスディスインフェクション」という処置を行っています。
この治療は、口腔内の殺菌に効果的な抗生物質を服用し、その薬が効いている間に通常4~6回程度にわけて行う治療を1回で集中的に行う歯周病治療のこと。「歯周病治療をしているのに効果が得られない」という場合に、ぜひご検討いただきたい選択肢のひとつです。すべての歯を一気に治療するため施術に時間がかかり(3時間程度)、治療費も少し高くなりますが、1回の治療で感染源を徹底的に除去できるので効果的です。
フルマウスディスインフェクションを行うことで口腔内を清潔な状態に整えられるため、矯正治療や歯周外科治療、インプラント治療の前などにお受けいただくこともおすすめです。
歯周病の最大の原因はプラークに潜む細菌(歯周病菌)。つまり、そのプラークを日常のブラッシングで取り除くことがもっとも簡単な予防法といえます。
とはいえ、ブラッシングで完璧にプラークを落とせている方はほとんどいないのが現状。しかも、歯の裏側に付着した汚れや歯の隙間にできた歯石は自分で見つけることができません。歯周病を予防するには、定期健診が効果的です。
また糖分を摂取しすぎない、柔らかいものばかり食べない、タバコを吸わないなど、歯周病を悪化させないような生活習慣を心がけてください。